モリカゲシャツのアタリ
今日は「アタリ」のお話です。
なんとなく嬉しい響きに聞こえますが、 ファッション的な意味としては、シンプルにいうと、
繊維が熱や圧力、摩擦などでつぶれて平らになったところに光沢感が出て、
いわゆるテカリやスレのある状態になってしまうことを「アタリ」といいます。
とくに、生地が重なっている縫い代など、凹凸がある部分にできやすい現象です。
服飾の生産現場では新しい服にアタリがついているのはNGとされていて、
工場の職人さんは、アタリが出ないように
注意深く気をつけて作ってくださっているのです。
それが、古着の世界になるとアタリに価値が出てくるという、
なんとも深いアタリの世界。
例えば、ワンピースやシャツの裾など3センチの縫い代にする場合、
1.5ミリの三つ折りにし、なるべく段差を減らすことで
アタリを軽減していたりします。
余談ですが、そうしておくことで丈を長くする直しにも対応できたり、
アタリが少ない方が直しもきれいにできることもあったり、そんな意味もあります。
なるべくアタリを作らないのが基本のモリカゲシャツですが、
もちろん生地やデザインによっては、アタリが魅力のひとつになるものもあります。
例えば「刺し子ドビーのパンツ(バルーン/テーパード)」もそのひとつ。
「刺し子ドビー」の生地は凹凸があるので凸の部分に摩擦が生じやすいのですが
凹んだ部分は摩擦が少ないので色落ちのバランスがよく、
雰囲気のあるアタリになりやすいです。
さらに、天然繊維のみでやわらかく織られたこの生地は、
お洗濯するたびにより心地よくなじむので、
自分で仕上げていく感覚を楽しんでいただけると思います。
長く着ていただくうちに、ご自分の癖がアタリとなって、
より着心地よく愛着を持っていただけるなら、
モリカゲシャツにとっては大アタリのような喜びです。
タグ: